ウェブを使った新しいジャーナリズムの実践者として知られるジャーナリストでメディア・アクティビストの津田大介氏。SNSの規制を強化したエジプトの法律をめぐる動きを解説する。
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エジプト議会は7月16日、ソーシャルメディアへの規制を一段と強化する法律を可決した。この法律では、ツイッターやフェイスブックなどのソーシャルメディアで5千人を超えるフォロワーを持つアカウントを「メディア」として扱い、政府のメディア規制当局の監督対象とすることが定められている。
つまり、一般市民やジャーナリスト、活動家などの個人であっても、フォロワー数が多ければ、既に厳しく規制されている新聞やテレビなどのメディアと同等の責任を負わされることになるということだ。
法律では、「フェイクニュース」や「違法行為、暴力、憎悪の扇動」「個人や宗教の侮辱」を伴う投稿の発信・拡散が禁止され、それを取り締まる権限を政府の「メディア管理委員会」に与えている。しかし、禁止される行為の定義があいまいで、規制当局が恣意(しい)的に判断することも可能になるため、政権批判の取り締まりを意図した法律ではないかとの見方が強まっている。政府が「虚偽だ」と判断すれば、あらゆる言論が摘発の対象になってしまうためだ。
実際、エジプトでは2013年のクーデター以降、政府に不都合な報道や批判的な言動が徹底的に取り締まられており、多数のジャーナリストや活動家が「虚偽報道」「テロ支援」「国家への侮辱」などを理由に逮捕・拘束されている。昨年1年間だけでも、500におよぶニュースメディアや人権団体のウェブサイトへのアクセスが遮断された。そうした取り締まりは法的根拠が不明確なケースも多く、国際的な批判を浴びていた。今回の法律は、そうした取り締まりを事後的に正当化することが目的だとの見方も出ている。
国際人権NGOの「アムネスティ・インターナショナル」は今月初め、この法律が表現の自由を脅かしているとの声明を発表。