都内のイベントに登場した、ロンドン五輪の金メダリストで、ボクシングのWBA世界ミドル級王者の村田諒太。金メダルを持参してきた(撮影/大塚淳史)
都内のイベントに登場した、ロンドン五輪の金メダリストで、ボクシングのWBA世界ミドル級王者の村田諒太。金メダルを持参してきた(撮影/大塚淳史)
イベントで司会を務めたフリーアナウンサーの加藤綾子(撮影/大塚淳史)
イベントで司会を務めたフリーアナウンサーの加藤綾子(撮影/大塚淳史)
現在、路上の掲示板に貼られている、熱中症対策を訴える村田諒太のポスター(撮影/大塚淳史)
現在、路上の掲示板に貼られている、熱中症対策を訴える村田諒太のポスター(撮影/大塚淳史)

 ボクシングのWBA世界ミドル級王者で、2012年ロンドン五輪金メダリストの村田諒太(32)が、東京五輪の酷暑対策問題について自身の見解を述べた。

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 村田は7月26日、都内で開かれた「JOCオリンピック選手強化寄付プログラムwith Visa」の発表会に登場した。司会を務めたフリーアナウンサーの加藤綾子から、ロンドン五輪で金メダルを獲得した時のことを聞かれると、こう振り返った。

「人生が変わる瞬間というか、変わるきっかけというか、夢がかなったようで、かなわかったような瞬間というか。よく覚えてますね。ただ、金メダルというのは一つのきっかけだけしかなくて、過程が大切。それを獲ったことによって、その後どう展開していくか。ま、あまり期待しないほうがいいです(笑)」

 最近の酷暑で、東京五輪の競技開催時間が問題視されているが、村田はネガティブに捕らえすぎるべきではない、と話す。

「対策は必要でしょうね。でも、できることとできないことがあります。そこをケアしすぎて、(競技が)できなくなってもしょうがない。それはこれから皆で案を出していけばよいのでは。ロンドンは暑かったですよ。それこそ外で我々、競技は室内ですけど、選手村の端っことかで練習して汗だしして、十分汗出てましたから、暑いことは暑かったですね。ネガティブな面に目を充てても仕方ないので、その中でどうするか、どう対応するかが大切です」

 練習などに臨む上で、どんな熱中症対策をすべきか、村田なりの見解を述べてくれた。

「僕だったら、例えば、朝走る時間を早くするとか、今まで(距離を)10キロにしてたのを7キロにする。汗が出すぎるからとか、そうして対策していくことが重要。東京五輪の時に気温が何度になって、時間がずらせないってあるのかもしれないですけど、そこで何ができるかが大事です」

 村田は現在、東京消防庁のポスターに、ボクサースタイルで登場して「熱中症をノックアウト!」と対策をアピールしている。これについては、「2014年京都での試合の写真かな?なかなか怖い顔してますね。まだ棘がある。あのポスターと並んでポーズ取ってみたんですけどあの顔はできないですね」と笑っていた。

 東京五輪は2年後に迫るが、選手たちはどんな心持なのか?村田はロンドン五輪前の心境を振り返り、こう解説してくれた。

「10年にアジア競技大会があって、派遣3選手のうちの1人に選ばれなかったのが悔しかった。だからよく覚えてますね。『なんで選ばれないんだ』という気持ちもありました。北京五輪に出場した選手もいましたし、ほかにも有望な選手がいましたから、その時はその時で仕方ないとは思いました。でも、翌年2011年の世界選手権で銀メダルを取ったときは、『ほら見たことか!』とは思いましたよ(笑)。『あの時、俺を選んでおけば、もう1個メダルが増えたぞ』とは思いましたね。だから、悔しい気持ちだとか、反骨心みたいなのが必要だと思います」

 たとえ、代表にすぐに選ばれなくても、焦る必要はないと選手たちに村田独特の言葉を送った。

「今ある答というのは、現時点での一端の答でしかない。金メダルを獲ろうが何しようが一端の答えでしかしない。そういう気持ちが大事。全てが続くわけではないので」(本誌 大塚淳史)

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