カビやダニ、ダニの死骸は、ぜんそくやアトピー性皮膚炎、高齢者の肺炎といったさまざまな病気の原因物質、生活習慣病を悪化させる要因でもある。特にこれからの季節に起こる「夏型過敏性肺炎」は、室内にいるカビの一種トリコスポロンが原因とされる。カビの胞子が一つの空間内に1千個以上あると、健康被害が起こる可能性が高まるという。

「掃除の前に知っておきたいのは、家のどこに病原ホコリがたまりやすいかということ。部屋の隅、廊下の両サイド、テーブルやイスの脚などの家具周りなどをよく見てください」(同)

 自らの重みで床に積もったフレッシュなホコリは軽く、人の動きなどで生じる気流で舞い上がり、気流の終点である部屋の隅などにたまる。そのホコリが湿気を含んでまとまり、カビやダニなどの温床になるのだ。部屋の隅だけでなく、家具周りなどにも気流の終点ができる。

 この原則から考えると、掃除の順番は、部屋の中央→部屋の隅や家具の周辺、がベスト。逆になると、キレイにした部屋の隅に、ホコリがたまってしまうことになりかねない。

「忙しいときは、部屋の隅の掃除だけでもOK。真ん中のホコリは人やモノの動きと共に勝手に隅に寄ってくれますから」(同)

 掃除用品の選び方もポイントの一つだ。

 フローリングや廊下を掃除する際、モップのような掃除道具を使う人も多いだろう。床を拭くシート部分は使い捨てが主流で、以前よりもずいぶんラクに床拭きができるようになった。

 この掃除術でも、モップやシートを活用するが、ウェットタイプではなく「乾いたシート」を使うのが鉄則だ。なぜぬれていてはダメなのか。松本さんは次のように解説する。

「乾いたホコリをぬれたシートで拭くと、一部はシートに吸着しますが、残りは床面に付着する。その状態で床掃除をすれば、床にホコリを塗っているようなもの。汚れが広がるばかりです。これは何度テストしても同じ結果でした」

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