
韓国出身の俳優、キム・ジェウクは7歳まで、日本で暮らしていた。
「父が新聞社の特派員で、僕が生まれてすぐ、家族で日本に引っ越してきました。子供の頃、僕のファーストランゲージは日本語だったんです」
このインタビューも、すべて日本語で行われた。発音も完璧なら、語彙力も文句なし。ジェウクさんと監督であるチョン・ジェウンさん以外、全て日本人キャストとスタッフで制作された映画「蝶の眠り」で、彼は、遺伝性アルツハイマーに侵された女性作家と恋に落ちる韓国人留学生チャネを演じている。
「このお話をいただいたとき、まずは、チョン・ジェウン監督の作品に出られることをとても光栄に思いました。あとは、日本が舞台で、ほぼ100%日本語で芝居をやらないといけないこと。監督と僕以外は、日本の方たちと作業するということ。いろんなことが興味深くて、断る理由が見つかりませんでした」
共演した中山美穂さんが韓国でブレークするきっかけになった映画「Love Letter」の大ファンで、DVDも持っているという。
「あの映画には、日本の風景の美しさ、日本女性の美しさ、日本人特有の“感傷”の美しさや瑞々しさ。そんな、日本独自の“美”がたくさん詰まっていると思います」
そう力説する彼に、「『蝶の眠り』にも、日本人が忘れかけていた日本的な美が凝縮されていたと思う」と伝えると、その顔がほころんだ。