さわやかで穏やかなイメージの溝端淳平さん。ところがご本人曰く、「変な正義感」の持ち主で、納得できるまでとことん話し合うタイプだとか。故・蜷川幸雄さんから受けたシゴキや俳優仲間とのお付き合い、28歳の俳優としての悩みや目標まで、作家・林真理子さんとの対談で率直に語ってくれました。
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林:和歌山の田舎にこんな素敵な人がいたら、目立ってしょうがないでしょうね。
溝端:いや、浮いてましたね。素敵とかじゃなくて、みんなやさしくてのほほんとしている中で妙にギラついていて。我が強くて、がさつで、友達のおもちゃ壊したりするから、「あいつとは遊びたくない」って言われるような悪ガキで。「暴君」「野生児」というのが僕のあだ名でした(笑)。
林:ほんとですか。想像できないですよ。今とはまるで違いますね。
溝端:今も変な正義感があるかもしれないです。席を譲らない若者がいると注意しちゃったり。
林:そんなことをしたら、ネットに書かれません? 顔と名前がこれだけ知られてるのに。
溝端:書かれることもありますけど、つい言っちゃうんですよね。飛行機の真ん中の席に乗っていたら、通路側の席にいた50代くらいの男性が、キャリーバッグを通路に置いたままトイレに行ったんですよ。それで誰か通るたびに僕が「すいません」と言いながらどけてたんです。持ち主の方が戻ってきたので、「キャリーバッグ、通路に置いてましたので……」と言ったら、「だから何だよバカヤロー! 関係ねえだろ!」って怒鳴るんですよ。
林:まあ、ひどい。
溝端:僕も頭にきて怒鳴りかえそうかと思いましたが、いちおう人前に出ている人間なのでそこはグッとこらえまして。その代わり、「僕はいいんですけど、お年寄りとか子連れのお母さんの通行を邪魔したことに対して、申し訳ないという気持ちがないのはおかしくないですか?」という話を、50分ぐらい続けたんです。
林:えーっ、50分も? そのおじさん、何と言ったんですか。