小1時間ほど散策し、下り列車で江陵へ。フィギアスケートのほか5競技の会場の最寄り駅だ。この駅は在来線時代に何度も訪れたが、いまはその面影は跡形もなく、ホールのごとき円形の駅舎と半地下ホームが出現していた。

 駅前広場の一隅にバス乗り場が設けられ、日本語の路線案内も。現在は京江線専用だが、遠からず嶺東線(江陵―栄州)系統の列車が乗り入れる予定だ。

 おなかがすいた。どの駅にも飲食店が見当たらないのだ。江陵駅前でコンビニを見つけ、なんとかおにぎりにありついた。

 江陵から上り電車で一駅戻って珍富で下車。なじみの薄い地名だが、スキージャンプをはじめ9競技の会場の最寄り駅だ。五輪期間中には全列車が停車する。駅前には五輪案内所も設置される予定だが。この日は駅構内ともども工事たけなわ。江陵と比べて質素な駅舎で、会場へのシャトルバス乗り場と車寄せスペースを広めにとってあるのが目を引く。

 さらに上り列車に乗り、横城へ。これで6駅制覇達成だ! 意気揚々と駅前を出る。待っていたのは牛舎と荒野だった。まともな建物が見当たらない。確かにこの地方は畜産が盛んだ。韓牛はブランドでもある。ヒュウーーーっと冷たい風が頬を打つ。

 ソウル方面行きの列車に乗るには2時間以上ある。横城にいても牛しかいないので、江陵に戻った。

 最後は「特室」に乗ろう。「KORAIL PASS」があれば、特室料金が半額になるため、5500ウォンの出費で済んだ。

 一気にソウルへ。19時27分に着いた。12時間を要したこの旅で、口にすることができたのはおにぎり1個。長い1日が終わった。(植村誠)

<お役立ち情報>
●乗車券:各駅窓口のほか、空港鉄道の仁川国際空港T1、T2駅の鉄道窓口などで購入できる。KORALのウェブサイト(http://www.letskorail.com 韓国語・英語)からも購入可。列車時刻表も上記サイトで。

●KORAIL PASS:これがあればKORAIL全列車(ソウル地下鉄など首都圏電鉄および臨時観光列車を除く)が乗り放題。KORAILウェイサイトで購入可。日本語ページもある。便利だが、元をとるのはやや難しい。五輪期間を含む2月1日~3月25日は、専用の「平昌KORAIL PASS」(発売は18年1月31日まで)か、通常の乗車券が必要。

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