

東出昌大さんは、若手ながら芸能界きっての落語通。本誌連載陣の落語家・春風亭一之輔さんとはテレビ番組で共演した縁もある。連載をまとめた書籍『いちのすけのまくら』(小社刊)刊行を記念して、初対談した。落語を通して見えてきたお互いの人生観について語り合った。
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一之輔:以前から寄席や落語会には来ていただいていたようですが、面と向かってお会いしたのは、Eテレ「落語ディーパー!」で共演したとき。
東出:あのとき、緊張していたんです。
一之輔:そんなふうには見えなかったな。
東出:僕、落語が大好きなんです。どんなお題でも、一之輔師匠は一つひとつの言葉がまるで「立っている」ようで、何度聴いても飽きません。
一之輔:うれしいなぁ。そんなこと初めて言われました。
東出:聴く人の年齢を問わない落語というか。それが華があるということかもしれません。
一之輔:(照れて)華か……。
東出:品というか。
一之輔:お芝居の世界でもいますよね。華のある人。その人が登場すると、画面が明るくなるような人が。
東出:「キャメラに愛されている人がいる」っていいますね。横一列に並んでいても、一人だけ目がいってしまう人がいます。噺家さんでいったら、何度聴いても飽きない人とそうでない人との違いでしょうか。
──本書のタイトルは「いちのすけのまくら」。時事ネタを盛り込んで、日々のあれこれをつづっており、落語のまくらと似ている部分も大きいからだ。
一之輔:連載を本にまとめたんですが、毎週、原稿を書くのが、結構大変でした。だから「もったいないなー」と思って、実際に高座でまくらとして使うこともあれば、ラジオで話したりもするんです。そうでないと、書き損ですよ(笑)。東出さんも普段、文章を書くことありますか。
東出:以前、日記は書いていました。最近は子育てもあって忙しくて書いていませんが。