しかし、このユーチューブの対応に対しても、ペナルティーとして甘すぎる、対応が遅すぎるといった厳しい意見も多い。また、ユーチューブがポール氏らトップユーチューバーを特別扱いしているために、ポリシー違反の動画であっても見て見ぬふりをしたのではないかとの批判も寄せられている。
この件に限らず、ユーチューブは世界的なメディアプラットフォームとして、不適切なコンテンツをどう扱うべきかという難題を突きつけられている。昨年3月には人種差別やイスラム過激派を支持する動画に大企業の広告が掲載されていたことが発覚。さらに11月には、未成年者が出演する動画にわいせつなコメントが投稿され、ファミリー向けをうたう「ユーチューブ・キッズ」に子ども向けを装った暴力的、性的なコンテンツが紛れ込むなどの問題も浮上していた。
いずれも複数の大企業が広告を引き揚げたことで、ユーチューブは緊急の対策を迫られることとなった。中長期的な取り組みとして、不適切な動画の検出を効率化するための機械学習システムの強化や、人間の監視員を今年中に1万人規模に増員することを決めた。今年はユーチューブにとってメディアとして成熟できるのかが問われる試練の年となりそうだ。
※週刊朝日 2018年1月26日号