リアル・タイム・ライヴ・イン・コンサート1992~イン・メモリー・オブ・リチャード・ティー
リアル・タイム・ライヴ・イン・コンサート1992~イン・メモリー・オブ・リチャード・ティー
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他界してから19年になリチャード・ティーのライヴ
Real Time Live In Concert 1992 / Richard Tee (VideoArts Music)

 リチャード・ティーが1993年7月にガンで他界してから、早いもので19年になる。49という享年を自分が超えてしまったことに、リアルタイムで追いかけていたかつてのファンとしては、不思議な思いが交錯するばかりだ。

 43年にブルックリンで生まれ、クラシック音楽を習得。65年にモータウンのスタジオ・ミュージシャンとして活動を始め、マーヴィン・ゲイ、キング・カーティス、アレサ・フランクリン、ロバータ・フラックら、ソウル系のアーティストをサポート。74年にゴードン・エドワーズが発起人となったスタジオ・ミュージシャン集団“エンサイクロペディア・オブ・ソウル”に参加し、76年には“スタッフ”としてデビューしたのは有名なエピソードだ。折からのフュージョン・ブームにあって、スタッフはテクニックを追求するのではなく、ソウルフルな歌心をバンド・コンセプトにしたことで他のグループと差別化を図り、日本でも大きな人気を集めた。第1弾は「Stuff」のロゴがCI効果を生んだことで、優れた内容と共にバンドの認知に絶大な効果を果たしたのだった。

 人気絶頂の79年にティーは初リーダー作をリリースする。ボブ・ジェームスのレーベル、タッパン・ジーの制作による『ストローキン』は、スティーヴ・ガッドとの最上のコラボを記録したタイトル・ナンバーを含む内容。翌年にはガッド、エリック・ゲイルのスタッフ・メンバーと、ラルフ・マクドナルド、トム・スコットらが連続参加した第2弾『ナチュラル・イングリーディエンツ』が制作され、洗練されたセンスとヴォーカリストとしての魅力をアピールした。ティー+ガッド+マクドナルドは、時代の最先端のサウンドを作ったチームであり、その最高の成果がフュージョン史上に輝く傑作『ワインライト/グローヴァー・ワシントンJr』だ。83年にスタッフが解散すると、ガッド率いるガッド・ギャングをサポート。その後、80年代に日本のレコード会社から2枚のリーダー作をリリースした。

 92年9月、結果的にはティーの遺作となる『リアル・タイム』が、本邦新レーベルOne Voiceから登場。そして翌月、ゲイルを除く中心的なレコーディング・メンバーにより、新宿「インディゴ・ブルー」で記念コンサートが開催された。本作は20年を経て日の目を見た、そのステージのライヴである。ピアノが強力にドライヴする#4を聴いていると、ティーがすぐそこにいるように感じてしまう。当たり曲#9でのガッドとのミュージシャンシップには、わかっていてもやはり胸が熱くなる。ファンにはたまらない発掘作だ。

【収録曲一覧】
1. That’s The Way Of The World
2. The Way
3. My Funny Valentine
4. Strokin’
5. In Real Time
6. Send One Your Love
7. Changes
8. It’s Time
9. Take The A Train
10. Bridge Over Troubled Water

リチャード・ティー:Richard Tee(p,key)(allmusic.comへリンクします)
ジョン・トロペイ:John Tropea(g)
ウィル・リー:Will Lee(el-b)
スティーヴ・ガッド:Steve Gadd(ds)
ラルフ・マクドナルド:Ralph MacDonald(per)
ロニー・キューバー:Ronnie Cuber(bs)

1992年10月、東京録音

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