錦戸:龍平君は、ふだんもボソボソしゃべるんです。撮影の最後のほうは何度か一緒に飲みに行ったこともありましたが、ふつうにしゃべっていて、いきなり毒を吐いて、「ジョークだよ。笑ってよ」って言ったりするんです。「いや、そのトーンで言われてもわからんし」って思うこともありましたよ(笑)。だから最初のほうはもっと、ずっと探り探りだったんです。

林:床屋さんの見習いで働いてる人(水澤紳吾)、すごかったですよね。よくああいう俳優さんを探してきたなと思って。見るからにそれっぽいじゃないですか。元受刑者という感じのお顔立ちで(笑)。お酒を飲んだ瞬間に一気に変わって、あのときのコワさったら……。

錦戸:彼はほんまに、いまだにわからないところもありますよ。最初のシーンで、窓の外をボーッと見てるんですけど、空き時間もそれやってて、「こええな、この人」と思って(笑)。

林:カミソリをのどに当てられるシーン、本当にコワかった。

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