ドラァグクイーンとしてデビューし、テレビなどで活躍中のミッツ・マングローブさんの本誌連載「アイドルを性(さが)せ」。今回は、「裸の男」を取り上げる。
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今年もよく脱いだ日本の男たち。わざわざ異性の服を着込む行為を生業としている身としては、『脱ぎたがる男』の心理は測りかねるところですが、迷惑なことはいっさいないわけで、いくつになっても眼福賜りありがたく思っている次第です。
2017年は、脱ぎ続け・隠し続けてきたアキラ100%さん。テレビ画面の内側で、横からも後ろからも斜め上からも、あらゆるアングルを拝見できたのはまさに役得でした。同時に「隠そう」としている部分にエロスは存在し、その面積が大きければ大きいほど、「隠していない」部分からフェロモンは放出されるということを改めて感じました。1メートルにも満たない至近距離で、お盆の隙間に覗くアキラ100%さんの『剃りたての鼠径部』、とてもエロかった。その半面、股間以外のすべてから放出されるフェロモンは散慢で濃度が薄かったのも事実です。
フェロモンとは言わばビームであり、外気に晒された数少ない裸から鋭く照射されるもの。「髪を上げた時の女性のうなじが色っぽい」的な。ですから、よく「体全体からフェロモンが漂う人」などと言うのは、実は適当な表現(もしくは露出の高さとフェロモンの濃度が比例する杉本彩さんや光GENJI時代の諸星和己さんのような人)なのです。科学的根拠はいっさいありませんが、原理としては『ホースの先をつまむと水の勢いが強くなる』のに似ています。
私は幼少の頃からプロレスを性的な目、要は『オカズ』として観てきました。ノンケ男子が深夜番組のオッパイ狙いで夜更かしするのと同じ用途です。しかしながら興奮する『肝』は、あくまで『裸の男が“痛がる姿”』であって、別にリング上でセクシーダンスを踊られても、私の性的欲求を刺激するフェロモンは感じません。男子競泳も大好物ですが、好きなのはレースを終えて体が濡れた状態でインタビューを受けている場面です。これもまた勝手な解釈ながら、水(汗でも可)が素肌に蓋をして服の役割をし、フェロモン本来の『ビーム性』が成立しているからという説も。フェロモンは視覚で感じるものではないのが分かります。