手元の読み取り装置に旅券を置き、画面で顔を撮影する。有効期限内の旅券で、本人だと確認されると、奥の透明のゲートが開く(撮影・中川透)
手元の読み取り装置に旅券を置き、画面で顔を撮影する。有効期限内の旅券で、本人だと確認されると、奥の透明のゲートが開く(撮影・中川透)
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 パナソニックが15日、羽田空港の帰国審査場で10月から採用された顔認証ゲートを公開した。入国審査官が担っていたパスポート(旅券)の確認や本人照合を、わずか10秒足らずで終えられる。ほかの空港にも広がり、入国審査の混雑解消の切り札となるか。

 自動改札機のようなゲートには、旅券の読み取り装置と、鏡台型の縦長なハーフミラー画面がある。まず旅券の顔写真ページを読み取り装置に置くと、ICチップから顔写真データを読み取る。続いて画面に顔を向けると自動撮影し、旅券の顔データと照合。本人と確認できれば、ゲートが開く。事前の登録手続きは不要で、わずか10秒ほどで手続きが終わる。

 ゲートは10月半ばから羽田空港に置かれ、日本人の帰国手続きで使われている。開発担当者は「旅券を置いてからゲートが開くまで非常に速く、たくさんの人がビュンビュン通過している。1人の審査官が複数のゲートを同時に管理でき、ゲートの台数分だけ審査効率が上がる」と話す。

 15日公開されたデモンストレーションでは、数年前に撮影した古い写真の旅券でも通過できたり、マスクをつけて顔を隠していると通れなかったりする様子が紹介された。マスクのほか、帽子やサングラスを着けていたり、前髪が目にかかっていたりすると、顔照合の妨げになる。

「化粧、しみやしわなど顔の経年変化には、影響を受けません。これまでに大量の顔の画像データを集めて分析することで、画像処理の技術を磨いてきました」(開発担当者)

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