「地元の黒毛和牛など生産者を限定しているから、どうしても原価が高くなる。一方で、肉メインの弁当なので、肉の量が少ないことも避けたい。お客さまが納得する中身と採算ラインをどうバランスさせるかが難しかった。ハンバーグはレストランで出すのと同等のもの。時間が経ってもおいしい火の入れ方やソースとの関係性の調整に苦心した」

 千葉社長の地元地区の生産者は約200人いて、平均年齢78歳という。「これが日本の農業の現状です。私が事業を通じて何をしたいかというと、生産物を再生産可能な金額で買い支える企業になること。それが私の目標です」と語る。

 店舗運営にかける千葉社長の哲学は独特だ。

「私にとって、食べる方々は消費者でなく“投資家”で、店舗は証券取引所。お客さまは消費を通じて、どんな分野にお金を再投資するかを考えている。“投資家”に食と農の現状を知ってもらい、消費を通じて食と農の未来をどのように構築するか。それを消費者と生産者と一緒にデザインしたい。東京駅という世界へ発信できる場所に、“証券取引所”を設けることができました」

 店舗は東京駅構内の商業施設「京葉ストリート」で営業。税込み1080円~2929円の4種の弁当を販売している。(本誌・中川透)

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