

放送作家・鈴木おさむ氏の『週刊朝日』連載、『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回は「座間9人殺害事件」の報道について。
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神奈川県座間市の死体遺棄事件やその後に起きた殺人のニュース報道などを見て、感じたことがある。
それはテレビなどのメディアに、殺された被害者の名前や写真を出すことについてだ。
あれは被害者の家族はどう思っているのだろうか?
納得しているのだろうか?
誘拐された人や、失踪した人の情報を出すのはわかる。テレビ、メディアでそうすることによって、手がかりが見つかることもある。だけど、殺された場合は違うと思う。
ああいう報道を見て、「かわいそうにね」とか「こんな若いのにね」とか、場合によっては「こんな可愛い顔してるのに」と言うだろう。
その事件の悲惨さを強めている部分はあるのだろうけど、あれを出すことに何の意味と正義があるのかと思ってしまう。
バラエティー番組を作る上で、一般の人の個人情報の扱いについては、とても厳しくなっている。10年前ならば、街中の通行人を撮影して放送しても問題はなかった(はずだ)。だが、今は、街中の映像でもボカシをかけたり、個人と特定できないようにする。一般の方にインタビューをするときにも声をかけてから、出演許諾の紙を書いてもらったりする。バラエティーでは、もっとも作る上で気を付けているところかもしれない。
それだけ、一般の方々の個人情報の取り扱いが厳しくなっているからこそ、殺人事件の報道などに違和感を感じるのだと思う。