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3人のテナー・サックスをフィーチャーしたAlexi David's Rehab
3人のテナー・サックスをフィーチャーしたAlexi David's Rehab

 ウェスト・ヴィレッジ、7thアヴェニュー・サウスと、クリストファー・ストリートの交差点にほど近く、地下にある広いスペースのファット・キャットは、もともとはビリヤード、ピンポンや、チェス、バックギャモン、レトロなアナログ・ゲームが、フィーチャーされたバーだった。

 90年代の終わりに、スモールスが最初のピークを迎えていた頃、この店の一角にパティションで区切り、ソファーを並べ、ステージをセットしたライヴ・スペースを作り、ジャズ・クラブ、スモールスの創業者のミッチ・ボーデンが、ブッキングを手がけ、スモールスの姉妹店としてスタートした。2003年にスモールスが閉店すると、ボーデンと共に、その常連ミュージシャンがファット・キャットに移ってきて、スモールスの伝統を引き継いだ。当時、ライヴ・スペースが消防法に抵触し、パティションが撤去され、ビリヤードやピンポンを楽しむ人たちと、音楽を楽しむ人たちが同居する、他で類を見ない不思議な空間へと、変貌した。

 2006年にスモールスが復活して、しばらくするとミッチ・ボーデンはスモールス専任となり、スモールスとの姉妹店関係は終わりを告げたが、現在も良好な関係を維持し,7thアヴェニュー・サウスのジャズ、コミュニティを共に支えている。

 スモールスと並んで、ここも毎日深夜12:30PM、週末は1:30PMから、ジャム・セッションが催され、腕に覚えのあるプレイヤーが集まる。チャージが$3.00と格安。生ビールのセレクションも充実している。ブッキングは、これから頭角をあらわす若手が中心だ。ここを本拠地とするファット・キャット・ビッグバンドは、12、3人のやや小編成のビッグバンドだが、ショウマン・シップを発揮して、音楽クオリティだけでなく、エンタテインメントとしても、なかなか愉しめる面白いグループである。現在は、ジンク・バーなどニューヨークのほかのクラブにも、出演している。

■Fat Cat (ファット・キャット)
75 Christopher Street (7th Avenue)
New York, NY 10014
http://fatcatmusic.org/
tel. 212.675-6056
2PM~5PM(月~水)12PM~2AM(金、土)(木~土)、ライヴは日によって変動するが、6PMもしくは7PMから2もしくは3セット+深夜のジャム・セッション、日曜日には1PMからのセットもある。