「いろんな意味で挑戦的で、昔、テレビがおもしろいと言われていた時代を思い起こしました」
アベマTVは基本的に無料。CMもあって、広告収入に頼る地上波と似たようなモデルだ。視聴率低下に悩むテレビ局にとって脅威とならないのか。
ある大手広告会社の社員は冷静な反応だ。
「現状のアベマTVと地上波テレビのCM料金は、時間帯や規模にもよりますが2桁は違う。地上波のゴールデンタイムだと、数十億円をかける企業もある。アベマTVで今後、大手企業のCMが増えることはありえるが、やはり強いコンテンツがないと」
広告業界に詳しいインテグレート代表の藤田康人氏は、今回の放送中、地上波の番組の視聴率が低下していないことに着目した。
「視聴者層が地上波と異なっているので、ネットテレビが代替することにはならないでしょう。広告は若者層がターゲットの製品分野が主流で、むしろ他のネット、動画広告から企業の予算が流れるのではないか」
現状では業界の中でのパイの奪い合いのようだが、地上波で難しくなった若者層に発信できることは示せた。今後の展開が注目される。(本誌・大塚淳史)
※週刊朝日 2017年11月24日号