アメリカの夏の終わりは、9月の最初の週末の3連休、レイバー・デイ(労働者の日)・ウィークエンド。この週は、去りゆく夏を惜しんで、各地で様々なイヴェントが催される。今回はニューヨークを離れ、多くの優れたジャズ・ミュージシャンを生み出している、デトロイトに降り立った。33回目を迎える北米でも最大の無料で愉しめるジャズ・フェスティヴァル、デトロイト・インターナショナル・ジャズ・フェスティヴァルをリポートしよう。
デトロイト・ジャズ・フェスティヴァルは、30年ほど前に、産業構造の変革で都市として瀕死の危機に直面していたデトロイト再生、デトロイト・ルネッサンス・プロジェクトの一環で、都市部に市民を呼び戻すイヴェントとしてスタートした。2007年からは、地元の老舗アパレル・メーカー、カーハートを中心とした複数企業のスポンサーシップにより、すべてのコンサートが無料で提供されている。河岸の公園、ハート・プラザに3つ、ウッドワード・アヴェニューに1つのステージと、パネル・ディスカッションが開催されるテントが設営される。今年は、ソニー・ロリンズ(ts)が登場した金曜日の前夜祭から始まり、土曜日、日曜日は正午から、夜11時近くまで、最終日は8時過ぎまで、4つのステージが同時進行して、66のグループが登場し、15のトーク・イヴェントが開催された。
今年は例年以上にビッグ・ネームの出演が目立った。メインは3日目に登場した、79歳にして、なお音楽の最前線で新たな表現領域を拡大している、ウェイン・ショーター(ts,ss)。ショーターのキャリアに敬意を表して、トリビュート・コンサート、ディスカッションも開催された。またパット・メセニーのニュー・グループ、ユニティ・バンドも注目を集める。今年のレジデント・アーティストのテレンス・ブランチャード(tp)は自らのクァルテットに加えて、ポンチョ・サンチェス(per)とのラテン・グループ、ニュー・オリンズのプリザヴェーション・ホール・バンドとの競演、デトロイトのアマチュア・グループをフィチャーしたりと八面六臂の活躍だった。アメリカ・ジャズの、過去から未来を俯瞰するフェスティヴァル。ぜひ、チャンスがあれば、9月最初の週末のデトロイト訪問を、強くお勧めします。
33rd Annual Detroit International Jazz Festival
Detroit International Jazz Festival
http://www.detroitjazzfest.com