若々しく元気な人に美の秘訣を聞くと、「特に何も」という返事が多い。特別なことをしなくても美しくなれるのかもしれないが、詳しく話を聞くと、意外にあるのだ。寝る直前に数分間でできる小さな習慣「美と健康の秘訣」が。
「睡眠は回復力の神様。スムーズな入眠とよい目覚めがリズムになれば、美にも健康にもつながると思う」
こう話すのは、美姿勢トレーナーの柴田有紀子さん(51)。睡眠のために大事なのは、鼻呼吸とストレッチという。「鼻で深く長い呼吸をして、吐くときはその日の体の疲れや否定的な感情を流すイメージで」。こうした呼吸を繰り返し、心や体の“毒素”を流して布団に入る。鼻呼吸をすれば、副交感神経にスイッチが入りやすい。これで、睡眠はバッチリだ。
交感神経が優位なままだと、考え事をして眠れない。眠りについても浅く、起床後に疲労感が残る。
「新橋スリープ・メンタルクリニック」(東京都)の佐藤幹院長は、眠る前のスマホだけでなく、テレビも避けたほうがよいと指摘する。「明るい光で、脳内に分泌され始めたメラトニンが消えてしまうからです」
翌日の仕事など、何か気になることができたら、メモ用紙にさっと箇条書きにすれば、すっきりする。
「大前提として眠くなってから布団に行くこと」
布団の中で眠くなろうとしてはいけない。寝る前こそ、ゆったりと心を解放させよう。寝る前のこの数分間、数十分間をどう過ごすかが、重要だ。
副交感神経を優位にするため、ストレッチやセルフマッサージもよいだろう。
美容サロンを展開する「エストロワ」チーフマネジャーの蛭沼千里さんは、床に仰向けになって行う簡単な、骨盤中央の仙骨のケアを勧める。両膝を抱えた状態でゴロゴロ。円を描くように膝を回転させる。この仙骨のマッサージは、心身のリラックスに有効だ。
仰向けに寝て、垂直に上げた手と足を揺らす「手足ぶらぶら体操」もよい。この体操は、生島ヒロシさん(66)がかつて勧めていたのを知り、記者も続けている。寝る前に全身の血流改善が実感できる。
生島さんが寝る前に欠かさない習慣は、口にテープを貼ること。口呼吸を防いで鼻呼吸になり、よく眠れて風邪もひきにくい。「鼻呼吸は健康のもとですね」