風の吹く県・吹かぬ県(直近4回の衆院選比例区の自民党の得票率)(週刊朝日 2017年10月20日号より)
風の吹く県・吹かぬ県(直近4回の衆院選比例区の自民党の得票率)(週刊朝日 2017年10月20日号より)
若手候補(30代以下)が出やすい県・出にくい県(週刊朝日 2017年10月20日号より)
若手候補(30代以下)が出やすい県・出にくい県(週刊朝日 2017年10月20日号より)

 近年、選挙結果を占ううえで欠かせないのが無党派層の分析。その動向は政権与党の議席を伸ばす追い風となることも、政権交代をもたらす逆風になることもある。本誌は直近4回の総選挙結果をもとに、「風」の吹き方を都道府県別に探った。選挙の県民性とも呼ぶべき地域の違いを紹介する。

【図】若手候補(30代以下)が出やすい県・出にくい県はこちら

 衆院選比例区の自民党得票率を、2005年9月、09年8月、12年12月、14年12月の4回分調べた。政党の得票率は、小選挙区の結果でみるとその政党の候補者の擁立状況で変わるが、比例区の結果だと影響を抑えられる。

 直近4回の衆院選で、自民党の議席は激変した。05年は小泉純一郎元首相の「郵政解散」で、自民党の議席は公示前の212から296へと84増加。小泉氏の強い発信力が無党派層の支持を集め、「小泉チルドレン」と呼ばれる初当選議員が多数生まれた。

 逆に、09年は自民の議席が300から119へと181も減り、民主党への政権交代が実現。12年は自民が118から294へと176増やし、政権与党への復帰を果たした。

 この間の自民党の比例区の得票率(全国計)をみると、最大は05年に記録した約38%で、最小は09年の約27%。約11ポイントの差が、「風」とも呼ぶべき無党派層の揺れを映す、とみることができる。

 地域別にみると、風の吹き方は大きく違う。

 最大と最小の幅が最も大きいのは栃木で、神奈川、沖縄、大阪、東京と続く。見逃せないのは、新党パワーの大きさだ。トップの栃木は、自民党を離党して旧みんなの党をつくった渡辺喜美氏のおひざ元。大阪は日本維新の会の源流が生まれた地で、神奈川も維新の有力候補者がいる地域。自民党の得票率は、新党誕生の影響を大きく受けている。

 一方で、得票率の幅が小さな地域をみると、高知がトップで、次いで岡山、北海道、島根と続く。これらの地域は比例区の得票率でみると、追い風も逆風も吹きにくい地域となる。

 高知は直近4回の総選挙で全小選挙区ともに自民党が独占した自民王国。ただ、比例区の自民党の得票率は高くなく、かつ大きく変動しない。北海道は旧民主党が強い地だけに、自民党の変動幅も小さいようだ。

 小選挙区の候補者の年代や性別は、地域によってどう違うのか。直近4回の総選挙の候補者数を、都道府県別に集計した。

著者プロフィールを見る
吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

吉崎洋夫の記事一覧はこちら
次のページ