The Artistry of Lars Gullin
The Artistry of Lars Gullin
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For Lars Gullin Vol. 1
For Lars Gullin Vol. 1

 一枚のLPがあります。「The Artistry of Lars Gullin」(SONET)SLP-1の話をします。そもそもこのラルス・ガリンというバリトン・サックス奏者に興味があったわけでもなく、むしろ後年のアルバム「Blues Port」(EMI ODEON E062-35174)での醜悪ともいえるデブ姿な録音風景なジャケットのアルバム(しかし、意外にDJから人気が高い)のイメージで敬遠していたくらいです。その「敬遠」というのは大抵後々に後悔することが多い。ジャケットで善し悪しを判断してはいけないというのは長いレコード人生で学習してますのがここでは詳しく書きませんが。

 40年代後期からのイーストコースト時期を経てクールサウンドに傾倒のあたりは日本でも何枚かレコードもリリースされているし、その当時の仏「Voegue」での吹き込みは後年安価盤再発も出ているのでそのあたりの活動に関してはケアできるかと思います。ただし同時期のレア盤として知られる軽妙なイラストの「METRONOME」での7インチシリーズはマニアのみに知られる垂涎盤となっていて今でも全貌は見えないが、たまたま購入した『Lars Gullin Quartet Vol.1』でメトロノームというレーベルを知った経緯もありました。

 その後がこの「SONET」レーベルのSLP-1、つまりLP1000枚限定でののファーストリリース(ちなみに所有しているこのレコードのナンバリングは400/1000)となるのでしょうか。従って1958年初頭~春のセッションによるものなので活動時期としては最盛期になります。オキ・ペルソンとの双頭セッションアルバムは以前、拙「須永辰緒の夜ジャズ:アナログ復刻5+1」で2010年にリリースをしている。あれ?何だかまとまらなくなってきましたが、つまり好む好まざるに関わらずラルス・ガリンというジャズマンとはいつの間にか縁があったということです。

 前述したメトロノームというデンマークのレーベルはまさに「欧州の秘境」でこのレーベルをググることによって欧州ジャズに魅了されてしまったくらいなのでその意味も含めて。パーソネルを紹介しておきますね。

 Lars Gullin(bs)、Rolf Ericson(tp)、Lappe Sundevall(btp)、Ake Presson(tb)、Lars Bergstrom(as)、Mats Olsson(p)、Bengt Wittstrom(b)、Nils-Bert Dahlander(d) というオクテット編成で当時の欧州のジャズの主流だったと思われるクール?ジャズな演奏を聴く事ができます。オクテット=マイルス・ディヴィス八重奏という時代性もリンクします。フロアでは『Night in Tunisia』が人気です。