岩崎宏美と今拓哉の出会いは、1998年の「レ・ミゼラブル」の舞台だった。妻は10歳年上であり芸能界の大先輩。二人は公演中の3年間はプライベートなことを話すことはなかったという。しかし縁に導かれ、下町生まれで自然体な妻と苦労人の夫はウマが合ったと二人は話す。
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妻:今ちゃんの第一印象は、すごく真面目そうでした。稽古でも常にフルボイスで歌ってたものね。
夫:実は宏美さんとはあまりしゃべったことなかったんです。ところが、出演予定だったキャストがけがをして急遽僕が代役をやったとき、突然、楽屋まで来てくれて。
妻:「今ちゃん、すごくよかったよー!」って。でも全然、恋愛対象じゃなかった。
夫:らしいね。宏美さんがレミゼを離れたあと仲間の芝居を見にいったら、たまたま席が隣だったり、僕の地方公演と宏美さんの全国ツアーの宿泊先が偶然同じホテルだったり。
妻:そのとき初めて一緒にご飯食べたんだよね。そしたら、今ちゃんは私と同じ11月12日が誕生日だとわかって。私の長男も平成元年の11月12日だから3人一緒。でも私は戌(いぬ)年、今ちゃんは申(さる)年。犬猿の仲なのよ(笑)。
夫:ハイハイ。
妻:そのころ、犬と「二人暮らし」だったから、ちょくちょく遊ぶようになったのよね。でも最初、私のこと怖がってなかった?
夫:公演中はね。歌や芸に厳しかったから。下手なことして敵に回しちゃいけないなと(笑)。でも仕事を離れて話してみると底抜けに面白かった。竹を割ったみたいに気っ風のいい下町の姉さん。
妻:そうそう。私、根っからの下町気質なの(笑)。なにせ生まれも育ちも江東区深川ですからね。
夫:それに明るいのが良いところ。
妻:それからしばらくして、私が言ったのよね。「よかったら一緒に住まない?」って。(犬の)ベリーと二人暮らしだったし、なんか気が合うし、いいかなと思って。
夫:僕は「え? いいんですか。わかりました」と。