矢野さんと岩中さんが一致したのは、九州は男性優位の価値観が強く、妻の氏の率が低いとの見方だ。東北の高さについて、矢野さんは「東北の男性は『俺が俺が』という面がなく控えめ。妻の氏を求められる環境になれば、受け止めるのだろう」と話す。

 その控えめな性格も関係するのだろうか、生涯未婚率をみると、男性は東北の岩手、秋田が上位。さらに、新潟の高さについて、岩中さんはこう話す。

「『新潟に杉と男は育たない』という言葉があります。新潟の男子は大切に育てられて甘やかされすぎるため、ナヨッとした気質の人が多いと言われます。一方で、女性は我慢強く、働き者が多いのが特徴です」

 結婚式費用は、会費制の文化が根付く北海道が低く、最高額は山梨。調査したリクルートブライダル総研の鈴木直樹所長は「人と人とのつながりを大事にする地域で、交際費を惜しまない。バスを用意して、親族でもない近所のおばさんも一緒に招く文化がある」という。山梨の結婚式の平均人数は約84人。全国平均約72人を大きく上回る。

 派手婚といえば、愛知の印象が強い。幼少期を名古屋で過ごした岩中さんは、結婚式以外の花嫁道具の準備などにお金をかけるのが当地の特徴だと指摘する。

「豪華な花嫁道具は見えっ張りの表れと評されることがあります。ただ、価値あるモノがあれば、夫との死別など万一の際にも売って生活できる。慎重で実利的な考えの表れです。嫁入り道具の持参は、しっかりした家庭だと地域社会で認知を得る意味もありました」

 岩中さんの幼少期、新婦が嫁入りする際に自宅の2階から「菓子まき」をすることが多かったという。「婚礼期の9~10月の大安吉日になると、子ども心に菓子まきが楽しく待ち遠しかった」と振り返る。

週刊朝日 2017年7月21日号より抜粋

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