放送作家でコラムニストの山田美保子氏が楽屋の流行(はや)りモノを紹介する。今回は、スタイリスト・栗原登志恵さんの著書について。
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女子アナでありながらファッション界に進出した唯一無二の人といえば元フジテレビアナウンサーの中村江里子。「モデルや女優よりもハイブランドの服をキレイに着こなす人」としても評価されていて、海外の有名ブランドから“ご指名”を受けて何ページものグラビアをこなすことも多い。
そして、ファッション界に「カクチカ売れ」なる言葉があるのは女優の賀来千香子。学生時代から「JJ」モデルとして人気を博し、主演女優へとステップアップしてからも、ファッション雑誌登場率が高い。
その際、賀来が身に着けているアクセサリーやワンピース、バッグなどのブランドに問い合わせが殺到し、「完売することも多い」とか。「ここにきて、またブームがきている」とも聞く。
中村と賀来、二人の共通点は、「JJ」育ちのアラフィフ、アラカンヌ(光文社「HERS」の元副編集長、加藤ゆかり氏考案のワード)に圧倒的な支持を受けていること。そして、ミラノ在住の人気スタイリスト、栗原登志恵さんと親交があり、彼女のファッションアドバイスを仰いでいることなのである。
芸能人を担当している著名スタイリストは数多いが、“テレビ担当”と“雑誌担当”では、いい悪いではなく、タイプがずいぶん異なるように思う。いちばんの違いは、後者一本の仕事で用意する服や雑貨の数がハンパないことだろう。
栗原さんは“雑誌担当”ゆえ、読者にも信奉者が多く、著書『スタイリスト・栗原登志恵の10年ワードローブ』も売れている。
「栗原さんは、私物や私服を惜しみなく公開してくれるし、何を残して何を買うべきなのかも丁寧に教えてくれるから、本当に参考になる」との声も多い。
シンプルなシャツやパンツ、ワンピースなどに、大人かわいい小物を合わせるのが栗原さんのスタイリング。たとえば、アラフィフ、アラカンヌの手首をかつて飾ったロレックスの時計を「もう古臭いのでは?」と躊躇している人には、細いゴールドチェーンや、小さなパールのブレスレットとの合わせ技を教えてくれる。
やはり、ブームは過ぎたように思っていたエルメスのスカーフも、巻き方や使い方を含め、自らモデルとなってレクチャー。
冬でもかごバッグを合わせることもあって、イチオシの「エバゴス」は、栗原さんのお陰でいくつ売れたかわからないのではないか。
もちろん、賀来千香子や中村江里子も愛読者。栗原登志恵の名前とスタイリング、覚えておいて損はない。
※週刊朝日 2017年7月14日号
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