主演した映画「ふたりの旅路(原題・Magic Kimono)」が日本で封切られた桃井かおりさん。米国・ロサンゼルスから帰国した桃井さんに独占インタビューし、映画の魅力と美しさの秘訣を聞いた。
――(試写を観て)桃井さんがとにかく可愛かったです。
桃井「私が今回演じたケイコは、典型的な、日本の風にあたって育っている女性。
私は、あれは可愛いとは思えないんですよ。自分から自分の考えで、時間を動かしていくことがあまりできないタイプで、私に言わせれば、『やでしょ~。こういうオンナ』。感じ悪くない感じ悪さ、とでもいいましょうか。日本で安全に、人から嫌われないようにほどよく暮らすには、ああいう感じが必要なのかもしれませんね。
そういう意味でも、今回の映画では、典型的な日本人女性を演じたつもり。海外の目線でケイコのような人を観ると、たぶんまどろっこしくて、『もっとはっきりしてよ』ってなるかもしれない」
ケイコは、人生の大切なものをすべて失い自分の殻に閉じこもってしまう。海外へ行くようなタイプではないが、あることをきっかけに行く。しかも、現地で着物ショーの舞台に立ち、テレビ番組にも出てしまうのだ。異国の地でラトビア人との出会いを通し、心を再生させていく過程が「食」とともに描かれている。言葉は話せないが、ケイコは「食」でラトビア人とコミュニケーションをし、心を通わせる。
――可愛いと言ったのは、ケイコ役のことではなく、桃井さん本人の出で立ちのことです。その美しさの秘訣は?
桃井「SK-II(笑)。でももう媚びる必要ないでしょ、この歳で。日本にいると、可愛くいなくちゃいけない。それって辛いよね」
――桃井さんは生活の拠点をアメリカに移されています。
桃井「今はL.A. の田舎で、のんびり暮らしています。日本にいた時の桃井かおりの皆さんの癇に障った感じは、向こうではそうとられない(笑)。あぁ付きあいやすいって、好かれますよ。日本よりも(笑)」
――すっかり海外のイメージが定着しました。
桃井「もう10年以上海外暮らしですが、私が海外で暮らすなんて、考えてもいませんでした。というのも和食屋が全然なかった50年前のロンドン暮らしで、もう海外は凝りていたから。
でも父が他界して、スペインに行き、短編製作に出演した。その後は、海外のオーディションを受けて、出演を続けます。これはまるで英語が堪能だった父に導かれるようでした。今回の『ふたりの旅路』の監督のマーリス・マルティンソーンスとは、7年前からタッグを組んでいて、全幅の信頼を寄せています。」