6月17日のAKB48総選挙で20位となった須藤凜々花 (C)朝日新聞
6月17日のAKB48総選挙で20位となった須藤凜々花 (C)朝日新聞

 今年のAKB48選抜総選挙の目玉は、前代未聞の「結婚発表」だった。NMB48に所属する須藤凜々花の突然の発言に、不快感をあらわにするメンバーもいて、その是非をめぐり大きな話題となった。

 結婚発表といえば、かつては金びょうぶを背に会見を開くことが多かった。近年は会見を開く場合もあるが、杏や相武紗季のようにファクスでの報告や、平愛梨のようにブログやSNS上で発表するケースも相次いでいる。渡部建と佐々木希のように、特定のテレビ局や番組と組んで発表するスタイルもある。芸能評論家の三杉武さんは、

「昔と今では、アイドルや若手女優の存在自体が違ってきています。手の届かないあこがれから、握手会などで直接会いに行ける存在になった。結婚も、昔よりもリアルな出来事だと思います。本気の恋愛対象としてアイドルを応援するファンもいますが、娘や妹を見るような感覚で成長を楽しんでいるファンもいます」

 三杉さんは、今回の騒動が大きくなったのは、現役アイドルの結婚発表そのものより、総選挙の場で発表したことが要因だったと指摘する。

「AKBグループはメンバーの自主性を重んじているので、須藤さんは自分の意思で選んだのかもしれません。ただそれだけに、他のメンバーにも大きな影響を与えた。特に、正統派アイドル路線でグループに貢献してきた渡辺麻友さんの卒業発表と重なってしまった」

 恋人であれ娘であれ、愛情を注いだ対象からの突然の告白は、ショックが大きい。モーニング娘。の元メンバー飯田圭織のケースでは、2007年のファンとのバスツアーの前日に、ミュージシャンとの結婚が報道された。翌日、なんともいえない雰囲気でツアーが開催された。楽しみにしていたツアーだったのに、一転して悲しみのふちに沈んだファンも少なくなかったという。

 須藤は21日夜、一部のマスコミ向けの会見で、グループからの卒業を発表した。15年に須藤がセンターをつとめた曲「ドリアン少年」の歌詞「誰が何と言ってもゾッコン だって彼はオンリーワン」のごとく、後悔せず強気の姿勢だったが、〝開き直り〟と感じたファンもいたようだ。結婚自体はおめでたいが、多くの人から祝福されるには、やはりタイミングがすべてなのかもしれない。(本誌・太田サトル)

週刊朝日 2017年7月7日号