「でも友人の美容師に相談すると、“染めだしたらキリがないし、そのままのほうがいい”と薦められて。以来、約20年、白髪染めなしでここまできました」

 今は、キュッと一つに束ねた白髪交じりの髪は艶があり、健康そうに見える。岡本さんの“三種の神器”は、体にも使えるシアバター、オイル、そして目の細かいくし。毎朝、シアバターとオイルを適量手に取って髪になじませ、しっかりと保湿しながらくしを使ってまとめる。こうすることで髪を保湿しながら、輝く艶が出せるという。

「艶があれば、白髪が目立ちにくいという効果もあります。白髪はパサついて見えると一気に老けがち。保湿をしっかりして艶を保つことが大事です。これからの季節は、髪の日焼けによるダメージも気になるところ。帽子やスカーフで、髪を守ることも忘れません」

 白髪を染めないヘアスタイルといっても、それは単なる手抜きでないのだ。白髪を生かして、ステキに見せるにはコツがいる。その工夫を達人たちに聞いた。

 東京・神楽坂でブティックを営む、白髪歴約40年というファッションアドバイザーの佐藤恵子さん(70)は、白髪を生かしたグラデーションヘアがトレードマーク。前髪から後頭部にかけて、白から茶、黒へと髪色が変化する。スタイリッシュなカラーは、「市販のヘアマニキュアをミックスさせた自己流」だという。

「私のモットーは、“探してないなら自分で作れ”。ヘアカラーだと染まりすぎるし、なかなかちょうどいい色合いの白髪染めがないと思っているときに、市販のヘアマニキュアを試してみたんです」

 説明書どおりにしてもうまく染まらない。置き時間を長くしたり、色合いをミックスさせたりして、独自の染め方にたどり着いた。

「本来、ヘアマニキュアはシャンプーで落とせるカラーリングですが、色素のない白髪だと、置き時間を長くすればいい具合に色が入る。私は極端に若く見られるより、2~3歳若く見られるくらいがちょうどいい。だからしっかり色が入るヘアカラーより、地毛の色合いを残しながらカラーできるヘアマニキュアが合っています」

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