そして、今回の経営危機。
「ご興味を持ってくださるパートナーがいれば……」
綱川社長は2月14日の会見で、出資比率を下げてリスクを減らしたい考えを示したが、現実は逆の方向に進みつつある。
WHに3%出資するIHIから株式の買い取りを求められたのだ。IHIは東芝に発電用機器などを納入。原発事業で協力関係にあり、いわば「盟友」だ。
「福島の事故後もWHへの出資を続けてきたが、これ以上株式を持ち続けると損失が生じる恐れがあり、売却に踏み切ったのでしょう」(原発メーカー幹部)
東芝は5月に約189億円で買い取り、出資比率は90%まで高まる。残る株主は、カザフスタン共和国の国営企業である「カザトムプロム」(出資比率10%)。そこにも、同様に買い取りを求める権利がある。
「いまWHの株を引き取ってくれる企業はない。東芝が100%抱えるしかない」(同)
原発関係の採算を少しでも改善すべく、ライバルの日立製作所や三菱重工業と交渉している核燃料事業の統合も、足踏みしている。
原発建設をWHが完了できなかった場合、親会社として米国の電力会社側などに約7千億円を支払わなければいけない。全面撤退すれば巨額の追加損失は避けられない。中国や英国の原発建設で追加の損失が生じる危険もはらむ。
「WHを法的に整理し、原発事業の大幅縮小も選択肢となる。そうした場合、半導体も原発も失い、後には何も残らないこともあるでしょう」(金融関係者)
進むも地獄、退くも地獄だ。
※週刊朝日 2017年3月10日号