結婚当初、妻40歳、夫28歳の年の差カップルは、大きな話題となった。あれから22年。俳優・演出家の渡辺えりさん、俳優・土屋良太さんの二人はその出会いを振り返る。
* * *
夫:若いころはよくケンカしては飛び出しましたよ、僕が。まあ、圧倒的な格差婚でしたから。今もそうですけど。
妻:ささいなことで言い合いになってね。
夫:コンプレックスですよ。俺だって、お前の世話にならなくてもやっていけるんだ! 今に見てろ!みたいな。でもね、えり子さんってすごいんです。すぐに携帯に電話かけてくるの。何事もなかったかのように「お夕飯どうする?」。
妻:あははは!
夫:おいおい、ケンカしてんだぞ?と思いながらも「何時に帰るー?」なんて、のんきな声で聞かれると……。「すぐ帰るよ!」なんて、精いっぱい不機嫌な声作ったりして。
妻:頭に血が上ってるだけなんだなって思ってね。
夫:気持ちの切り替えがすごいよね。
妻:いつまでも引きずってても、しょうがないでしょ。
夫:おかげでこっちも帰りやすかったんですけどね(笑)。
――出会いは妻が主宰する劇団の養成所だった。妻はすでに数々の賞を受賞し、テレビや映画でも活躍する有名人。夫は大学を卒業後間もない新人だった。
夫:早稲田で演劇をやっていたんです。僕らのころは小劇団の立ち上げがブームで、俺たちも!なんてその気になって……。でも、卒業してからどうしよう、と。1年ぐらい、ぶらぶらした後、どこかへ入らなきゃと、あちこちの劇団を受けまくりました。
妻:うちと、青年座と大人計画に受かったんだっけ。
夫:そう。公演をろくに見もせずに受けて。いろいろ迷った末に、劇団3○○(さんじゅうまる)の養成科「夢人塾」に入ったんです。
妻:新人を発掘しようと作った養成所の1期生でね。
夫:いろんな授業がありました。毎日、日替わりで、日舞、バレエ、パントマイム、殺陣(たて)、コント……。