漫画家&TVウォッチャーのカトリーヌあやこ氏は、「SMAP×SMAP」(フジテレビ系 12月19日22:00~)にゲスト出演したタモリを「見守り役として最適」と評する。

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 ビストロSMAP最後のゲストはタモリ。ひとつのアイドルグループが解散を決め、区切りまでカウントダウンしていく様を、ほぼリアルに共有するって、なかなか稀有な事象だ。

 すでに離婚が決まった夫婦みたいに、すっきりしたような、ホッとしたような、でも周囲をモヤッとさせつつ、穏便な笑顔を浮かべるSMAPと、いつものように淡々としたタモリ。

「『SMAP×SMAP』ってタイトルは、誰がつけたか知らないが、すげぇ厚かましいよね」と、しょっぱなから自由だ。中居正広に「ジャニー(喜多川)さんが考えた」と言われたとたん、「正解だよね! ジャニーさん偉いな」と、流れるような手のひら返し。

 SMAPとタモリの過去映像は、「森田一義アワー笑っていいとも!」の初出演シーンなど、どれもがひとつの時代を切りとる断片だ。そんな中、語られた、旧「いいとも」月曜レギュラーメンバーが、指原莉乃(HKT48)の仕切りで、2回ぐらい飲み会をやっているという話。この指原の圧倒的な世渡り力! どうしてもしみじみ昔語りモードなタモリ&SMAPに比べ、ギラギラとした「今」のハングリーさを思い知る。

 振り返り映像でハッとしたのは、最後の「いいとも」の「グランドフィナーレ」が、2014年だったことだ。2年前までやっていた「いいとも」。何かもう、すごく昔に終わっていたような、そんな感覚。そして同じく2年前の「FNS27時間テレビ」で、タモリとSMAPは、無邪気に重なって昼寝をしていた。その2年後に、彼らが解散するなんて、誰一人思わなかっただろう。

 思えばSMAPは、断層のようにすべての歴史を露にしてきた。メンバーが1人いなくなったり、涙したり、裸になって捕まったり、謝ったり。だから彼らの締めくくりを見守る役は、「地層のキワがいいんだ。すべてはキワだよ」と言うタモリこそ最適だったのだ。最後にタモリは、「人生には、判定なんてどうでもいいことだ」と、ビストロの勝敗判定を拒否。

 そして5人にクリスタルの星を五つ贈った。「五角形とか、いかすな」とつぶやいた中居。「逃げるは恥」でないと知り、リンゴにペンを刺すだけで皆笑い、SMAPの香取慎吾がそっと星を天に掲げた。そんな16年が終わった。

週刊朝日  2017年1月6-13日号

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カトリーヌあやこ

カトリーヌあやこ

カトリーヌあやこ/漫画家&TVウォッチャー。「週刊ザテレビジョン」でイラストコラム「すちゃらかTV!」を連載中。著書にフィギュアスケートルポ漫画「フィギュアおばかさん」(新書館)など。

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