日米韓首脳 (c)朝日新聞社
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 北朝鮮が5回目の核実験を強行し、「核弾頭」を完成させたことを誇示した。韓国軍当局によると、北朝鮮はさらに新たな核実験を準備しているという。米韓では“金正恩暗殺作戦”も視野に動き出したが、問題は日本が北朝鮮の核の脅威下に入り、逃れられないという現実だ。ジャーナリストの黒井文太郎氏がレポートする。

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 北朝鮮核実験の報道で、「また北朝鮮が危ないという、いつもの話か……」と感じる向きもあるかもしれない。しかし、今回はこれまでとは危険のレベルが違う。今後、朝鮮半島で戦争や内乱などが起きた場合、日本にいつ核ミサイルが飛んでくるかわからない時代に入ったのである。

 特に韓国では今回の核実験は深刻に受け止められた。韓国軍では、北朝鮮が核ミサイルを発射する兆候があった場合、金正恩が潜んでいると思われる平壌の一画を「地図から消滅させる」規模のミサイル爆撃を加える「大量反撃報復」を検討している。

 また、すでに韓国軍では、核ミサイル発射兆候時に金正恩と軍幹部を襲撃する特命特殊作戦部隊を、特殊部隊「特殊戦司令部」の精鋭を選抜して編成。

「これは、米韓連合軍が昨年6月に策定した『作戦計画5015』の中に、有事に平壌を急襲して北朝鮮の政治・軍事の指揮系統を破壊・遮断する『斬首戦略』が含まれており、その作戦の中に金正恩襲撃があることに対応した措置です」(韓国紙記者)

 米軍は9月13日、グアムから発進させたB-1B長距離爆撃機2機を韓国上空に送ったが、これはいざというときに核ミサイル基地や平壌を大規模空爆することを想定した出動訓練だった。B-1Bは核兵器は搭載していないが、計50トン以上という大量の爆弾を搭載できる。北朝鮮が先に核ミサイルを発射すれば、アメリカは核兵器で報復することになるが、発射の兆候をとらえただけではさすがに先制核攻撃はできない。その場合、B-1Bによる大規模空爆もオプションのひとつになる。

 このように、北朝鮮の核ミサイルが現実の脅威になってきたことに対応し、米韓軍は先制攻撃も含めた軍事作戦の練り直しを進めている。その目玉のひとつは、「大量反撃報復」や「斬首戦略」に含まれる「金正恩暗殺」だ。

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