放送作家でコラムニストの山田美保子氏が今注目するグッズを紹介する新連載「楽屋の流行(はや)りモノ」。今回は、シーンに合わせて形を変えられる「女優バッグ」について。
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女優はバッグを一度に3個持つのだという。まず、撮影の休憩中、楽屋の鍵や小銭を入れてテレビ局内や撮影所内を歩くためのアクセサリーポーチ。ちょっとしたメイク道具や台本を入れたいときには、A4サイズがすっぽり入るエディターズバッグ。ブランケットや羽織モノなどを入れるには、大きなボストンバッグ……で3個持ち。
だが、「これだ!」というバッグになかなか出会えないのは女優たちも同じらしい。
そんな中、ここ数年、アラフォー以上の女優や女性タレントの多くが持っているバッグがある。イッセイミヤケの「BAO BAO」(バオバオ)だ。
定番カラーに加えて、シーズンごとに新色が出るのだが、インパクトのある一色だけのモノからグラデーションのモノまで、既に持っているのにまた欲しくなる魅力的な代物だ。
色だけでなく、一つひとつのパーツ同士が自在に変形するので、トートバッグとして提げるもよし、折りたたんでクラッチバッグにするもよし。ファッションもカジュアルからモード系まで、どんなテイストにも合うというのが助かる。
実はこのバッグの広報大使ともいうべき存在なのが、本誌のコラム「アイドルを性(さが)せ!」の執筆者、ミッツ・マングローブさん。著書『うらやましい人生』の表紙にも、バオバオをトップスに見せたカットが使われている。
ミッツさんがどれほど買っているかは、親友の小島慶子さんが「踊る!さんま御殿!!」(日本テレビ系)のアンケートで、「ちょっと心配になるぐらい」と案じていたことでもわかろう。
ミッツさんは一昨年3月、ブログの「バオバオな日々」というエントリーで、「7日間で14個購入」と告白。「収集が止まらない」と記している。しかも当時は、あまりの人気ぶりに「1店舗/1日/1人/2個まで」と厳しい制限が付いていたのである。
私も経験しているが、あったらラッキー。探していた色でなくても買うべきだったし、なんなら、お友達の分も……と思った時期だ。
あれから2年。まだまだ人気は衰えていないし、これからのシーズン、白のバオバオが一つあれば、籠バッグやビニールバッグを買わずとも夏を乗り切れること間違いなし。
軽いし、折りたためるので、エコバッグとして忍ばせておくこともできる。ブランド品なのに2万円台などと安価なのも助かる。
バオバオさえあればバッグを3個も持たなくてもいいハズ。「女優バッグ」ともいうべき逸品だ。
※週刊朝日 2016年7月15日号