レッサーパンダ風太くん
レッサーパンダ風太くん
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 2005年、一ローカル動物園に過ぎなかった千葉市動物公園が連日ワイドショーで話題になった。スポットライトが当たったのは、キリッとした二本足の直立姿が注目を浴びたレッサーパンダ風太くん。入場者はうなぎ登りで、入場者数は前年度を15万人も上回る約80万人を記録した。

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「この年は缶コーヒーのテレビCMにも出ました。世界広しといえども、CMに抜擢されたレッサーパンダは風太が初めてでしょう。出演料は2時間3千円。撮影に6時間ほどかかったので消費税別9千円だったそうです」(広告会社関係者)

 その勢いに乗り、翌年度には88万人が来場。チョコレートをはじめとする“風太グッズ”が飛ぶように売れた。まさに一世を風靡した“スーパーレッサーパンダ”だった。

 03年7月5日に静岡市立日本平動物園で生まれた風太は、すでに19歳。人間で言うと80歳過ぎの“後期高齢者”。レッサーパンダの平均寿命は12歳ということからも、かなりのおじいちゃんだ。当然ながら体調に波がある。風太はいまも千葉市動物公園で暮らしているが、22年は4月16日から6月8日まで展示を控えていた。飼育担当の笹本貴俊さんが説明する。

「食欲不振や嘔吐が続き、便も緩かった。冬毛から春・夏毛への換毛の時期だったため、毛繕いしているうちに毛が腸にたまり、機能障害を起こしていたものと思われます」

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