いまの風太くん

 整腸剤を与え、こまめに毛刈りをして対応。おかげで風太は健康を取り戻した。だが、展示再開に踏み切ったものの、万全ではない。

「実は、風太は4年ほど前から白内障で、今は右目が見えていないのです。人間みたいに手術で治すことができないので、薬の点眼で進行を遅らせている状態です。ほかにも20年12月から約5カ月間、歯の治療のためお休みしていました。直立? 先輩飼育員に聞いてもここ4、5年、立ったのは見たことがないそうです」(笹本さん)

 レッサーパンダは国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで絶滅危惧種に指定されている。日本動物園水族館協会によると、国内の飼育頭数は21年7月末時点で264頭。世界では349頭いる(国際血統登録調査、17年末時点)。風太は10頭の子供、孫が31頭、曽孫が20頭、玄孫が8頭生まれ、約70頭の子孫を残した。

 筆者が取材に訪れた日の午後は、外の放飼場の獣舎で丸くなってずっとお昼寝していた。閉園直前の午後3時50分すぎに起きると、そそくさと寝室のある屋内へ戻っていった。そして入り口でほんの数秒立ち止まったかと思うと、カメラに向けて見得を切るように一瞥。このあたり、いかにもスターらしい振る舞いだった。

週刊朝日  2023年1月6-13日合併号

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