辺野古新基地建設への抗議活動を続ける芥川賞作家の目取真(めどるま)俊氏は、沖縄県うるま市の女性会社員(20)が遺体で見つかった事件について米軍基地がなければ起こりえなかったという。週刊朝日に特別寄稿した。
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行方不明となっていた沖縄県うるま市の女性(20歳)は、5月19日に遺体となって発見された。死体遺棄容疑で逮捕された米軍属シンザト・ケネフ・フランクリン容疑者(32歳)の供述に基づくもので、犯人しか知り得ない事実を語ったことになる。犯行の内容も具体的に報じられ出している。女性を強姦したうえで首を絞め、刃物で刺し殺したという、極めて凶悪な内容だ。これが事実なら、沖縄で起こった米軍犯罪の中でも最悪の部類となる。
報道に接して多くの人が、1995年9月に起こった3人の米兵による強姦事件を思い出しただろう。95年の事件では、犯人の米兵たちはレンタカーを使い、買い物に出た小学生を拉致し、犯行に及んでいる。
今回の事件では、被害者はウォーキングに出たまま行方不明となっていた。普通に街中を歩いていた女性が米軍犯罪に巻き込まれているのだ。
シンザト容疑者は、元海兵隊員で軍属として嘉手納基地で働いている。沖縄では米軍を退役したあと、軍属として基地内で働いている米国人は珍しくない。彼らも日米地位協定で特権を与えられている。今回の事件も、米軍基地がなければ起こりえなかった。