俳優樹木希林きき・きりん/1943年、東京都出身。61年に文学座に入り、64年、森繁久彌主演のドラマ「七人の孫」に出演。74年、ドラマ「寺内貫太郎一家」で貫太郎の実母を演じる。その後映画に主軸を移し、「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」(2007年)、「歩いても 歩いても」(08年)、「悪人」(10年)、「わが母の記」(12年)、「駆込み女と駆出し男」「あん」(ともに15年)など多数の作品に出演。映画「海よりもまだ深く」は5月21日に全国公開予定(撮影/写真部・堀内慶太郎)
俳優
樹木希林
きき・きりん/1943年、東京都出身。61年に文学座に入り、64年、森繁久彌主演のドラマ「七人の孫」に出演。74年、ドラマ「寺内貫太郎一家」で貫太郎の実母を演じる。その後映画に主軸を移し、「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」(2007年)、「歩いても 歩いても」(08年)、「悪人」(10年)、「わが母の記」(12年)、「駆込み女と駆出し男」「あん」(ともに15年)など多数の作品に出演。映画「海よりもまだ深く」は5月21日に全国公開予定(撮影/写真部・堀内慶太郎)
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 監督や俳優仲間からもリスペクトされる誰もが認める大女優の樹木希林さん。芸歴55年の樹木さんが女優を続けられた理由を、作家・林真理子さんとの対談で明かした。

*  *  *

林:樹木さん、今やってる朝ドラ(「とと姉ちゃん」)、ごらんになってます?

樹木:いや、見てない。

林:大地真央さんがおばあさん役で出てるんですけど、40代みたいなメイクで、髪だけ銀色のカツラをかぶっているんです。俳優としておばあさんの役をしたいのか、「わー、アップになってもきれい」と言われたいのか、私はわからないんです。

樹木:価値観がいろいろあるからね。私は髪が白くなったり、薄くなったり、部分入れ歯になったりするのが商売道具だから、アンチエイジングってもったいないと思うの。あのね、こういう人がいたの。すぐれた女優さんで、名監督と仕事をして名作にたくさん出た人が、80歳のときに80歳のおばあさんの役をやったの。その人、ふだんは白髪を焦げ茶に染めてるから元に戻すのかと思っていたら、染めた髪の上から白髪の化粧して出てきたわけ。粉を吹いたみたいですごく汚らしいし、ウソなのよ。それに対して監督も何も言わない。おかしくない?

林:すごく変だと思います。

樹木:そんなベテランでもそうなら、「きれい」をウリにしてる人たちがそうするのは、当然でしょう。

林:樹木さんが「寺内貫太郎一家」でおばあさん役をなさったのは、まだ40代……。

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