作家 室井佑月(撮影/写真部・岡田晃奈)
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作家 室井佑月
(撮影/写真部・岡田晃奈)
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 民主党と維新の党が合流した民進党は、岡田克也氏を初代代表に選出した。作家・室井佑月氏は、主要メンバーに以前と同じ顔ぶれが揃うようでは、選挙でまた惨敗するという。

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 野党を見ていると、本当に勝つ気があるのかと歯がゆくなります。あまりにもケンカが下手すぎる。

 新しく「民進党」ができても、岡田さんとか枝野さんとか、主要メンバーは結局、民主党時代に幅をきかせていた人たち。でも、彼らはこれまでずっと自民党に負けてきたんでしょ? 安倍さんと考え方の近い「自民党2軍」のような人たちもたくさんいるけど、それで自民党1軍と戦って勝てるわけないじゃない。

 もっと、相手が嫌がることをしていくべきですよ。岡田さんは裏方に回り、国会質問で安倍さんをタジタジにできる山尾志桜里さんや蓮舫さん、辻元清美さんのような若い世代をリーダーに立てたほうがいい。年功序列ではダメですよ。

 前首相の野田さんなんて「私の足を引っ張った(小沢一郎)元代表さえ来なければ」なんて、まだ小さなことにこだわっている。勝つためには「小沢さんも共産党も、自民党が嫌がるからフルに活用してやる」って、それくらいの気迫が必要なんじゃないの?

 民進党の議員たちは、連合だとか安倍さんに近い考え方の支持者だとか、ホステスで言えば自分の「太客」ばかり気にしているように見える。でも、世論調査では無党派層の多くが原発反対、安保法制反対だったじゃない。そういう声をすくい取るのが政治家の役目じゃないの? 数の上でも圧倒的に多い無党派層を取り込まないと、選挙には絶対勝てないですよ。

 次の選挙も惨敗したら、今度はもっと窮屈な社会がやってくる。早く考え方を変えてほしいです。

週刊朝日 2016年4月8日号

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室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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