“イジメ”とも思えるビジネスも横行している。
「ある納豆メーカーは、大手スーパーの要請でPB(プライベートブランド)商品の製造を始めました。PB商品は単価が安くて利益が薄くても、大量の数の安定生産が見込めたからです。ですが、いざ製造を始めるとスーパーから『もっと価格を下げてほしい。できないなら、他のメーカーに変える』と言われた。取引をやめれば売り上げが大幅に下がり、工場もストップする。そのため泣く泣く値下げに応じたそうです。なかには倒産したメーカーもある」(納豆メーカー関係者)
納豆以外では、豆腐や卵、ソーセージなども価格競争に苦しんでいる。豆腐製造業の元関係者は、「カナダ産の大豆を国産と偽っていた」と話す。価格の低下が、品質の劣化を招いたのだ。前出の山本氏は言う。
「結局、小売店が業者に値下げ圧力をかけるのは消費者が安い商品を求めるから。企業努力にも限界があり、価格を下げれば品質も下がる。それを防ぐには、消費者が食べ物の最低価格を知り、極端に安い食品は『おかしい』と思わないといけない」
※週刊朝日 2016年2月5日号より抜粋