「故郷石川から出て、日本一になるには東京、世界は米国からと思っていた。各国は法律面で米が手本。その米で成功することが世界展開成功への近道なんです。2年後をめどに手法を確立させ、各国に出たい」

 渡りに船の今回の端緒は米で高級ホテルを運営する台湾系企業からの引き合い。アパは標準的な部屋が約11平方メートルとコンパクトで空調の無駄が少なく、風呂も節水型。構造でコストを抑える一方、シングルでも50型テレビやダブルベッドを導入。設備で満足度を上げ、会員は1千万人を突破、訪日客も多い。そんなノウハウが目に留まった。

 今回は両社でアパのFC企業を設立。まずパートナーが運営するヒルトンホテルをアパ第1号とした。今後は全室に温水洗浄便座を備えるなど、春のグランドオープンまで改装する。

 元谷代表はこうも言う。「米の高級ホテルは1社が複数を運営する。契約すればアパを増やせる。それもオセロのように。2020年には日本を含め、今の倍の10万室にまで増やしたい」

 次なる狙いはなんとNY中心街マンハッタン。すでに用地を視察。提携先も新築開業の構想を持つ。となれば、設計はアパ仕様。露天の大浴場から摩天楼とアノ看板が眺められるかも。

(本誌取材班・上田耕司、藤村かおり、亀井洋志、牧野めぐみ、鳴澤 大/黒井文太郎)

週刊朝日  2016年1月22日号