フランス・パリで120人を超す市民が無差別に殺傷された同時多発テロ。パリ在住ジャーナリスト・林瑞絵が今も緊迫したパリの様子を伝える。
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「今回は戦争だ」(パリジャン紙)、「パリで殺戮」(リベラシオン紙)、「ホラーだ」(ニース・マタン紙)
オランド大統領が「前例がない」と怒りをあらわにした、未曽有の同時多発テロを経験したパリ。翌朝、フランスの朝刊1面には、物々しく殺伐とした見出しが躍っていた。
地球温暖化対策を話し合う国際会議(COP21)の準備が大詰めを迎えるなか、11月13日夜(日本時間14日早朝)、パリ市内外7カ所でテロ事件が発生した。死者は128人、けが人は180人にのぼり、99人が重傷を負うなど深刻な状況だ。
現地メディアによると、13日午後9時20分ごろ、パリ北部郊外のサッカー場近くで連続自爆テロが起きた。オランド大統領もサッカーの独仏親善試合を観戦中だったが、試合中に退席。試合後には、6万5千人以上の観客が避難をした。
標的となったスタッド・ド・フランスは、不時着したUFOを思わせる外観で国内最大規模の競技場。1998年のサッカーW杯フランス大会開催に合わせ建設された。アルジェリア系のジネディーヌ・ジダンら移民2世の選手が、フランスに優勝をもたらしたことで伝説の地となった。
移民国家・フランスの成功のシンボルを攻撃したことにもなるわけで、サッカーファンのみならず、国民に与えた衝撃は大きい。