太陽光エネルギーだけで運営する野外フェスが注目を集めている。仕掛け人の“ロックスター”佐藤タイジ、フェスに参加したシンガー・ソングライター泉谷しげる両氏に、「ロック」と「電気」の切っても切れない関係について語ってもらった。
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――太陽光エネルギーでの野外フェス「中津川 THE SOLAR BUDOKAN」を始めた経緯は?
佐藤タイジ(以下、佐藤):そもそも僕は、ずっと前から武道館のステージに立つのが夢だったのね。「武道館公演やらなきゃ死ねない」って。
泉谷しげる(以下、泉谷):へー、そんなに?
佐藤:そう。で、その準備を始めたころに東日本大震災が起きちゃった。武道館の夢も取り下げなきゃいかんかなとも考えた。でも、復興支援イベントをしながら、ふと「ソーラーでやればいいじゃん!」と思いついた。
――2012年に武道館で太陽光ライブを成功させ、「中津川」につながった。
泉谷:CDが売れない時代に、これだけの数の若者が集まる。やっぱりライブってのはいいね。
佐藤:やっぱり音楽って演奏する人と見る人がいて、成立するわけだから。
泉谷:ロックってさ、破壊の文化のように見えて、実は発明の歴史じゃん。「こんなフレーズ、どうやって作ったの」「このギター、どうしてこんな音が出るの」って。アンプなどの進化も含めてさ。太陽光エネルギーを使ったステージだって発明だよ。
佐藤:初めてソーラー蓄電池にギターのアンプつないだとき、音の良さに驚いた。「タイジ、おまえの進むべきはこっちだ」と道が照らされたような……。
泉谷:今はみんなエフェクター(音響装置)とか、電気の力に頼りすぎなんだよ。もっとシンプルな電気仕掛けにしないと。ロックは省エネと真逆のところにいたわけで、環境にやさしいことをやるなんて、昔のロックスターに言わせたら「ふざけんな、こらっ」って話だよ。でも、東日本大震災で変わったよな。