『週刊朝日』の長友佐波子編集長が今を輝く女性にインタビューする「フロントランナー女子会」。今回はあいおいニッセイ同和損害保険株式会社の再保険部長を経て、今春から同社で女性初の執行役員となった近藤智子さんです。
* * *
長友:あの、再保険部長のときに大病したって聞いたんですけど……。
近藤:ええ、3年前ですね。ちょうど株主総会の日で事務局としてスタンバイしてたんですけど、いつもは血圧高めなのに、朝からフラフラするなと思って会社の近くの病院に行ったけどわからなくて。その翌日、自宅近くの総合病院で、すぐに、もっと設備の整った病院に救急搬送しなくちゃいけないとなって。搬送直前に心臓が止まったんです。
長友:え~!! 止まった!?
近藤:はい、後で聞くと。私の記憶はブチブチ途切れているんですけど。「劇症型心筋炎」と診断されて、カテーテルで人工心肺をつけて治療をして、目覚めたのは2週間後でした。生存率は半分以下だったって聞きました。
長友:ひえ~! それ前兆とかないんですか?
近藤:まったく。発見もしにくくて、初期症状が風邪みたいだから気づかないで亡くなってしまう人も多いんですって。
長友:ストレスじゃなく?
近藤:みんなに言われるんですけど(笑)。乳児でも高齢者でも突然なるので関係ないそうです。結局「近藤さんが健康体だから助かった」とお医者さんに言われました。その後はすぐに完治して、今は何をしてもいいって言われてるんですよ。だから、今年の1月には駅伝大会に出場して完走しました(笑)。
長友:ええ? 信じられない! 普通出ませんよ(笑)。最後に後輩たちにアドバイスをお願いします。
近藤:女性初の官房長官だった森山眞弓さんの「働く女性は甘えず力まず、新しいポストはおもしろがる」という言葉を読んで、私がいつも言ってることだなと思いました。甘えず、変に力まず。力みすぎると失敗することも多いので。仕事は上に行けば広がるし、おもしろい。今はいろんなチャンスがあるので、バランスよく頑張ってほしいですね。
※週刊朝日 2015年8月21日号より抜粋