貫地谷:アハハハハ。顔が濃いからですかね。
林:目がパッチリされてるから。朝ドラのヒロインって、みんなにかわいがられてスタッフとうまくやるのも重要なんでしょう?
貫地谷:どうだったんだろう。でも、「こんなに副調(副調整室。カメラの映像を受け取る場所)にいるヒロインは初めてだ」って言われました。時間があるとずっと副調にいてモニターを見ていたんです。
林:それは自分の映りをチェックするために?
貫地谷:いや、なぜか副調にいると落ち着いて(笑)。皆さん大人なので、私の相手をしてくれてました。いろんなことが初めてで、すごく楽しかったです。ヒロインは週末のイベントにかり出されたりもするんですが、まだ誰も知らないような私が行くだけで、「ありがとう」と言ってくださったり。必要とされてるんだって、うれしかったです。
林:それまでもいろいろオーディションは受けてたんですか。
貫地谷:受けてましたが、受からなくて。だから受かったときはすごくうれしかったです。
林:その場で記者会見なんでしょう?
貫地谷:そうなんです。前日に「もう一回最終オーディションがある」って言われて。でも、最終オーディションが何度もあるわけないと思って、マネジャーに「たぶんヒロインに決まったと思うんだよね」って言ったら、「そんなこと言うんじゃない!」ってすっごく怒られて。
林:あ、本人には秘密なんだ。
貫地谷:はい。なんでこんなに怒られるんだろうと思って大阪に行ったら、会議室に人がたくさん並んでて、オーディションスタイルで質問されて、「体力に自信はありますか?」「はい」「じゃあ、秋からの朝ドラのヒロイン、お願いします」って。マネジャーを見たら、そっぽ向いてました(笑)。情報がもれたら大変ということで、過敏になってたみたいです。
林:そうなんだ。でも、21歳で朝ドラのヒロインやっちゃうと、そのあとが大変ですよね。一つの頂点をきわめたわけでしょう。主演クラスをずっと続けなきゃいけないから。
貫地谷:そんなふうに考えたことないかもしれないです。与えていただいた役を夢中でやっていたので。
※週刊朝日 2015年8月14日号より抜粋