「だんだん似てきた、と言われるようになってきましたね」
人懐っこい笑顔で話すその面差しに、父の姿が重なる。
工藤阿須加の父は、プロ野球ソフトバンクの工藤公康監督。現役時代の父と同じ、投手を演じたドラマ「ルーズヴェルト・ゲーム」でブレークした。
テニスでプロを目指していたが、高校1年の時に右肩を壊し、断念。20歳を超えて将来を模索し、最初に浮かんだのが、役者だった。
「高校3年でオーディションを受けた時は、軽い気持ちを見抜かれ、大反対されましたが、父は『一人の男として、本気で決めたことなら許す』と言ってくれました」
デビュー4年目を迎えた。4月クールでは、話題のドラマ「アルジャーノンに花束を」に加え、時代劇「かぶき者 慶次」に出演するなど、ひっぱりだこだが、楽観はしていない。
「怖いですね。人生そんなうまくいくと思っていない。今から準備して、ちゃんと役者としての力をつけ、40代で格好いい男になりたい。目指すは、父です」
※週刊朝日 2015年6月19日号