続々と会場に入る株主(撮影/写真部・松永卓也)
続々と会場に入る株主(撮影/写真部・松永卓也)

 経営方針の違いから父娘が社長の座を巡って争った大塚家具の決戦が終わった。互いの退任を求め、委任状争奪戦を展開したが、軍配は娘・久美子氏に上がり、社長続投。敗れた父・勝久氏は会社を去ることが決定したが、お家騒動で大塚家具の株は波乱含み。会社には険しい道のりが待っている。

 ある株式市場関係者は言う。

「当初は、勝久さんが有力だという見方が大半でした。やはり、カリスマ性がありますし、これまでの付き合いがありますから取引先の大半は勝久さんにつくと見られていたんです。久美子氏はそこを計算して、メディアの露出を増やしたり個人投資家向けのセミナーを開いたりして、個人の取り込みを図っていました」

 こんな声も出ていた。

「今の経営方針に納得しているから株を持っているのです。ただ、役員の大半が勝久氏についているのなら、話は変わります。そんな状態で久美子氏が社長を続けるとしても、うまく経営は機能しないでしょう」(40歳の投資家男性)

 事実、総会前日までには、家具の業界団体である家具経済同友会やフランスベッドが勝久氏支持を表明するなど、勝久氏有利と見られていた。

 だが、蓋をあけてみると久美子氏側の会社提案が6割以上の支持を取り付けた。逆転の理由は何か。

「大株主である勝久氏、千代子氏ともしゃべりはじめると、歯止めがきかなくなる。それが悪い方向に出てしまいました。総会での両親の演説が敗因の決定打になったのでは、と思ってしまいます」(同社関係者)

 勝久氏側につくのではないかと思われていた金融機関も、最終的には久美子氏についたようだ。株主の一人がしんみりと言う。

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