『週刊朝日』の長友佐波子編集長が今を輝く女性にインタビューする「フロントランナー女子会」。今回はカルビーの執行役員人事総務本部本部長の江木忍(えぎ・しのぶ)さんです。
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長友:江木さんはもともとマーケティングで商品に関わっていらしたんですよね?
江木:はい。私は中途入社なんですけど、入社以前に一度キャリアを諦めた事情があって、最初はそんなにやる気がある社員ではありませんでした。
長友:それがどうして、こんなやる気溢れる役員さんになったんですか?
江木:入社して5年経ったころ、商品部に配属されて「サッポロポテト」の担当になったんです。当時はサッポロポテトの売り上げが好調ではなかった時期で。それで当時の上司に勧められて工場に行ったら、私、製造工程を見てすごく感動しちゃったんですよ。ジャガイモをホクホクにふかしたものと、ホウレン草やニンジン、カボチャをみじん切りにしたすっごくおいしそうな素材で生地を作っている。「え! 本当に野菜を使ってるんだ!」とビックリして。そこですぐ思い出したのが創業の理念「自然の恵みを大切に活かし、おいしさと楽しさを創造して、人々の健やかなくらしに貢献します。」でした。まさにそれを体現する商品だなと思って、本当にウルッとくるほど感動して、音が聞こえるくらいスイッチが入ったんです。
長友:へ~。そこが転機だったんですね。
江木:こんないい商品が売れないなんて!と思って、もう夢中になって。工場、製品開発、営業、物流、購買と私で勝手にプロジェクトチームを組んで「サッポロポテトやるぞー!」みたいな(笑)。野菜の配合を変え、ジャガイモの品種を変え、野菜が入っていることをもっと伝えようと野菜の粒々が見えるように変え、さらに「サッポロポテトつぶつぶベジタブル」と改名して。そこまで1年半から2年はかかりましたけど、結果、売り上げが飛躍的に伸びました。もう、すごく嬉しかったですね。
長友:最初に管理職になられたのもその評価ですよね。中途で入っても普通に管理職になれる感じだった?
江木:当社は昔から中途入社が多いので。ただ、女性で課長は珍しかったから、あとに続く人のために失敗できないなという思いはありました。
※週刊朝日 2015年4月3日号より抜粋