舞台監督の父とバレリーナの母を持つ俳優の小栗旬さん。作家・林真理子さんとの対談で芝居に対する秘めた思いを明かした。
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林:いずれ劇団を主宰しようとか?
小栗:そこまで思ってないですけど、仕事とは別なところで夜な夜な集まって、一本芝居でも作れたらおもしろいなと思ってるんです。
林:おー、ステキ! 小栗カンパニーですね。台本書いたり演出やったり?
小栗:まずは自分がやってみたい戯曲を持ち寄ろう、みたいな。僕、基本的に興味は古典のほうにあるんですが、それこそ蜷川(幸雄)さんがいなくなっちゃったら、シェークスピアに真っ正面から向き合っていける演出家さんがいなくなっちゃいますから。
林:それをご自分がやろうと思ってるわけですね。
小栗:いやいや、僕は舞台の演出をやろうとは思ってないですが、いい人が育ってくれたらと思いますね。
林:ご自身でできそうですよ。蜷川さんから言われてないですか。「俺のあとを引き継いでくれよ」とか。
小栗:そんなことはないですけどね(笑)。蜷川さんに鍛えられたところもいっぱいあるので、そういうことを伝えたいなと思いますね。
林:話は変わりますが、幕末のころに小栗ナントカっていう有名な武士がいましたよね。小栗さんってその方の子孫ですか。と言いながら名前が出てこない。
小栗:小栗上野介(こうずけのすけ)ですか。
林:そうそう。すごくおもしろい方だったらしいですよ。きっと小栗さんの祖先に違いない、お目にかかったらお聞きしようと思ってたんです。
小栗:ぜんぜんつながってないです。うちの小栗は愛知の海賊だったらしいです。でも、子供のころに「ギミア・ぶれいく」という番組で糸井重里さんが徳川埋蔵金を探してるときに、「小栗上野介」という名前が出てきたので、この人と血がつながってたらいいなと思ってました(笑)。
林:それは残念。それにしても、いままで遠目でしかお目にかかれなかったけど、近くで見てもほんとにカッコいい(笑)。でも、山田優さんくらいの美貌がないと、こういう人とは暮らせないですね。朝起きて隣にいたら、緊張しちゃって……。
小栗:いえいえ、普段はほんと、だらしないですよ(笑)。
※週刊朝日 2015年2月13日号より抜粋