ただし、国民国家政府の税金の使い方が下手くそであるのは間違いない。年度予算制も単式簿記も非常に遅れている。時代に合っていない。それを解決する策はやはり小さな政府化しかない。公社、公団の民営化を皮切りに特殊法人や独立行政法人などの民営化を順次行っていき、道州制などでコンパクトな地方自治を実行できるようにすると、税負担も減っていくだろう。
そして相続税だが、例えば中小企業の経営者が亡くなったとして、ほとんどの財産は株式なのだろうから、それは国家がいったん保有して売りだせばよい。土地なども同様にできるだろう。
本来であれば、現金はファンドなどを作って公募制で優良なプロジェクトに分配されるようにするのもいいかもしれない。少なくとも行政機関が使い道を決めるよりは有用な使われ方をするのではないだろうか。
しかし、もっとも私が恐ろしいと感じるのは、相続税関連の記事を読んで、まだ死んでもいないのに、死んだ後のことを否応なしに考えさせるような状態になってしまうことである。
本人はまだ元気で頑張りたいと思っているのに、配偶者や子どもたちからいろいろ言われて、仕方なく相続税対策なんて考えている人も多いのではなかろうか。私はそんな声にめげずに、「死ぬまでに財産を使いきってビタ一文残しません」と断言する人を支持したいと思っている。
※週刊朝日 2015年1月30日号