ようするにパブリック・ドメインという一点に尽きるが、最近ではいわゆるレコード会社以外の会社やレーベルから、マイルスやジョン・コルトレーンの未発表ライヴがCD化され、価格的にも内容的にもますます混沌とした状況になってきた。もはやブートレグもそのなかに組み込まれ、いまでは形を変えて堂々と売りに出されている(かつてブートレグに目くじらを立てて異議を唱えていた人たちは、この状況に対してどのような感想をもっているのだろうか)。
さらにCDだけでは売れないということなのだろう、各国でAKB商法が目につくようになってきた。マイルスを例にとれば、CDとTシャツをセットにしたもの、CDにポートレイト(昔風にいえばブロマイドですね)を組み合わせたもの、そしてアナログの復刻等、それはそれは種々雑多。ちなみに今回掲載した『イン・ア・サイレント・ウェイ』のジャケットは、4月ごろに発売される予定のアナログ盤です。ジャケットの上部にアナログであることが謳われているが、いかにも「特殊・特別」な感じがして、これはこれでアリなのではないかと。
まあそのようなわけで、大きな曲がり角にきている音楽業界事情ではあるが、この「ジャズ・ストリート」も今回が最後となります。お読みいただいたみなさんに感謝いたします。今後は「ミュージック・ストリート」に移転し、この連載に関しては「中山康樹の音楽玉手箱」として継続されます(しかも無料です)。ですからサヨナラではまったくなく、引っ越すだけという、なんとも情緒のないご案内となりましたが、ともあれ今後ともよろしくお願い申し上げます。「ジャズ・ストリート」を読んでいただいたみなさん、長い間、どうもありがとうございました。