国内で3億枚以上発行されているクレジットカード。しかし、事業者にとってカード決済はデメリットもある。そうした現状を打ち破るのがスマホを決済端末に変える「Square」だと堀江貴文氏はいう。
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■米国で大ブレークのスマホ決済サービス「Square」
スマートフォンのイヤホンジャックを使って、カードをスワイプする決済端末に変身させる「Square」は画期的なサービスだ。
端末がカードの磁気情報を読み取り、デジタル・アナログ変換をして音声データに情報を載せる。そしてスマートフォンのアプリが、そのアナログ情報をデジタルデータに変換して、カード情報を読み取る仕組みだ。いわゆるモデムの機能を2.5センチ程度の小さな機器の中に詰め込んでいるのだ。
そしてクレジットカード会社と有利な契約を結んだ。その背景にはカードの不正利用を見抜くためのビッグデータ解析技術が役立っている。日本のカード会社は、入り口で審査を厳しくしてカードの不正防止を図っているため、例えば飲食店の経営者が自分のカード限度額いっぱいまで使って自分の店の決済をして、決済日後に夜逃げをするなんてことも考えられる。だがSquareはそのような不正を見抜くことが可能なのだ。
しかもカード決済の手数料は3.25%で、即日使える。中小個人事業主だってそんなノリで使える。日本の決済事業者はカード決済の端末を置かせてくれるまで1カ月かかることだってざらだ。しかもカード決済手数料をぼったくられている。5%以上取られることもざらなのである。だからこそカード決済に対してネガティブな中小の飲食店は多い。
実はSquareはローソンで購入できる(千円くらい。しかもその分キャッシュバックされる)のだが、ネガティブな反応をする人たちが非常に多い。なかには現金商売をしているのでレジ打ちをごまかして脱税しているような不届きな輩もいるみたいだが、そんなのは論外だ。しかしそれ以上にイメージでクレジットカード決済を嫌っている人は多い。
レジとの連携も重要だ。いまだにキャッシュレジスターを使っている店は多い。あれは閉店後にレジからレシートが出てきて、それを現金や帳簿などと突き合わせたりしなければならないので膨大な手間となる。それが全部カード決済で自動的に会計システムとつながれば、無駄な人件費をセーブすることだって可能だ。そんな未来に対して、皆消極的なのである。
しかし良いニュースもある。Squareのフォロワーが増えていることだ。大手のオンライン決済会社PayPalが展開するPayPal Hereや、日本でも楽天スマートペイ、ベンチャーのコイニーなど、いろいろな会社が事業展開してきている。そしてAmazonがその膨大な売り上げ規模を利用して既存のライバルに対して1%の手数料ディスカウントをして参入してきたのである。
最終的にどうなるのだろうか。そもそも手数料はインターネットベースのシステムで全ての決済取引を完結できるなら限りなくゼロに近づいていく。そしてビットコインのような仕組みと相まって数年以内にゼロになるんじゃないだろうか。あとはどのポイントで皆が導入するかが鍵だろう。
※週刊朝日 2014年9月26日号