はやいもので『ZIPANG PUNK ー五右衛門ロックⅢー』の東京公演も、あとわずかとなりました。
去年の12月19日に始まったので、東京だけでも40日近くある長い公演ですが、今までの経験上「始まるとあっという間に感じるかもしれない」とも思っていましたが案の定でした。
もちろん、こちらは観ているだけですので、実際に毎日公演を行っているキャストやスタッフにしてみれば、そんなにのんきなことは言っていられないかもしれません。
風邪もはやっているし、疲れもたまっています。
とりあえず1月27日の東京千秋楽まで、みんな無事に本番をつとめてくれることを願います。
最初の『五右衛門ロック』をやるときに「ビアガーデンで生ビールを一気に飲み干すような芝居にしたい。後口にほんの少し苦みは残るがそれも含めて、あー、気持ちよかったで終わるような芝居だ」と思っていました。
一作目から第三作の今回まで、その気持ちに変わりはありません。
派手で楽しくて歌も踊りも笑いもあるけど、ギャグだけで押すネタ物よりはストーリーはあり、隠し味としてテーマというと大仰だけど、今自分が感じている想いは忍ばせる。
でも、それって実は新感線の王道活劇なんですよね。
今は、いのうえ歌舞伎はもう少しヘビーな話をやろうとしてますので、この『五右衛門ロック』シリーズが今一番This is the新感線な作品とも言えるかも。
朝日新聞や読売新聞などの劇評が、「もっと五右衛門シリーズがみたい」という論調で終わるのも、そのせいかもしれませんね。
1月20日に、『ZIPANG PUNK』の中打ち上げがありました。
本番には、小栗旬くん、勝地涼くん、生田斗真くん、堺雅人さんなど、新感線経験者も観に来てくれて客席もにぎやかになりました。
小栗くんや勝地くんは、三浦春馬くんと個人的にも親しいようです。
先輩方にどんな感想を言われたのか、気になるところです。
打ち上げでは麿赤兒さんや村井國夫さん達大先輩と話す機会がありました。
お二方とも、この公演をとても楽しんでくれているようで安心しました。
いつもの新感線とは違う異色のキャスティングですが、お二人の舞台力が遺憾なく発揮されていて、台本以上に役が大きく膨らんでいるさまを見るのは、脚本家としては大きな喜びです。
年末年始にふさわしい派手で楽しいお祭り騒ぎになればいいなと思っていましたが、さいわい毎回満員で、お客さんたちにも楽しんでいただいているようです。
なにより今回の劇場、シアター・オーブは渋谷に新しくできたヒカリエというビルの11階がエントランスという、中空の劇場です。眺望が素晴らしい。
12時半からの公演だと、終演が4時すぎ。この時間に客席からロビーに出ると、天気がいい日は見事な夕焼けの富士山が出迎えてくれるんです。
こういう芝居が終わったあとにきれいな富士が見えるというのも、なんとも粋なものだなあと嬉しくなりますね。